オーディオで原音再生するにはどうすれば良いか。
はじめに
アールズ大傍様との話を書こうと思ったら、いろいろ昔のことも書いてしまって長くなってしまいました。
CDの衝撃と同じレベルの衝撃
高校生の時にミニコンポ(Technics D-5000)を買って音楽を聴き始めました。初めてCDの音をちゃんと聞いてそのクリアな音質にかなりの衝撃を受けました。それから大学生の時にDATレコーダー(SONY 59ES)を買ってあまりの音質の違いにびっくりしました。高校の時にCDを聞いて衝撃を受けたのと同じレベルの衝撃です。理由はDAコンバーターが違うからです。ミニコンポに入っているDAコンバータと一応単品オーディオのDATレコーダーに入っているDAコンバーターではレベルが違ったと言うことです。Technics D-5000はアンプにDAコンバーターが入っていて、CDプレーヤーは光出力になっていました。当時はやりの機能です。SONY 59ESはカセットを入れずに録音ボタンを押すことでDAコンバータとして動作するので、光デジタル入力に接続されたCDプレーヤーの音もSONY 59ESのDAコンバータを使って高音質で再生することが出来るようになりました。一般的にオーディオは出口に近いところが音質への影響力が強いと言われていると思いますが、テクノロジーがどんどんアップデートされるDAコンバーターの影響はかなり大きいと実体験で感じ、後々の考え方に大きな影響を与えたと思います。
タイムドメイン
生駒市で個性的なスピーカーを作ってるとの情報で興味が出て購入したのはタイムドメインmini。アンプ内蔵で2万円ぐらいだがなかなか音が良く、その音はそれまでずっとミニコンポのスピーカーを使っていたのもあるけど目からうろこでした。周波数特性ばかりに着目せず、時間軸に対して音を正確に再生することで、音楽ソースとの相性も関係なく再生できるとの事でした。
さらにパワーのある富士通テンのTD-307も購入しました。
この頃からPCオーディオにも目覚め、タイムドメインminiにはサウンドカード(ONKYO SE-80PCI → SE-200PCI)を取り付けて、TD-307にはUSBオーディオレシーバー(ONKYO MA-700U)取り付けてDA変換にこだわることでPCオーディオでも十分なレベルに持って行ける感じがしました。
TD-307は余裕があるものの低音がイマイチで、MA-700Uにタイムドメインminiを繋いだ方が意外と音量上げても歪まないしバランスは良い感じがしました。タイムドメインというと賛否両論あると思いますが、どちらも小口径スピーカーの良さに気づかせてくれたスピーカーです。TD-307は手放しましたが、タイムドメインminiは月刊ステレオ付録のヘッドフォンアンプ付きUSB-DAC LXU-OT2と組み合わせて使い続けています。パソコンの方もAC97からHDオーディオに変わって、標準の出力端子の音も随分良くなりましたからLXU-OT2の効果はそれ程大きくはありません。
自作スピーカー
タイムドメインで原音再生を考え始めたわけですが、小口径フルレンジでもっと良いものであれば原音再生に近いはずと考えました。小口径フルレンジの市販品は少なく自作されている人が多いことがわかったのと同時期に、長岡鉄男さんの著書にも行き当たりました。すでに故人となっていましたがものすごい数の設計図を残していました。その中でやはり心に刺さったのはバックロードホーン方式です。世の中のスピーカーはほぼほぼバスレフ方式ですから、バックロードホーン方式が欲しければFOSTEXのキットか自作ぐらいしかありません。バックロードホーンはスピーカーの前からの音はそのまま、スピーカーの後ろから音をホーンで低音ブーストして出すことで小口径フルレンジでは考えられないぐらいの低音が出るというものです。10cmのユニットを使うD-10バッキーを作ってみました。結構エージングに時間がかかりましたが期待を大きく超えていい音が出ました。DENON F101のアンプでもなかなかいい音でしたが、リサイクルショップでAVアンプ(SONY V555ES)を見つけて繋いでみたら、すごく良くなりました。
SONY V555ESはAVアンプなのでこだわる人にはダメなのかも知れませんが、そこはSONYの555シリーズなので良かったです。デジタル入力付きで内蔵のDAコンバーターもSONY 59ESのより格段に良いものでした。SONY V555ESは残念ながら壊れてしまったので、デジタル入力があってスピーカーが2系統つながるものを探して、ONKYO A-5VLを買いましたがこれにも満足でした。ONKYO MA-700Uに使われているVL Digitalという技術が、A-5VLにも使われているのにひかれたと記憶しています。
長岡式スピーカー D-10バッキーの製作
https://ikomark.com/blog/d10
スピーカーの製作(月刊ステレオ付録スキャンスピーク)
https://ikomark.com/blog/speaker-craft
長岡式オーディオラック製作
https://ikomark.com/blog/audiorack
基本スタンス
- 原音再生を追求したい。
タイムドメインから小口径フルレンジを使う中で、なるべく原音に近づきたいと考えてます。聞き疲れするようなことがあってもそれが原音であれば良いし、ボーカルの「サ」とか「ツ」とか耳障りでも原音がそうであれば受け入れていこうと思っています。ライブに行けばそんなこともありますがそれが原因で残念な気分になったことはありません。ピアノはピアノに聞こえて欲しいし、バイオリンはバイオリンに聞こえて欲しいと思っています。
- コストパフォーマンスを重視する。
DAコンバータの影響を実体験してきたことで、DAコンバーターに良いものを使いたいと考えています。あとは音の出口に近いほど音質への影響が大きいのでアンプとスピーカーを重視しています。DATレコーダーの追加だけで飛躍的に音が良くなった体験から、すでにあるものを工夫することを知りました。オーディオはこだわりだしたらいくらでも高額なものがあるのでコストパフォーマンスの意識は常に持っていたいと思います。
アールズサウンド
アールズ大傍様の視聴室にお邪魔する機会がありました。そこで聞かせてもらったのが IK MULTIMEDIA iLoud Micro Monitor スピーカーというものです。電源、ケーブル周りはアールズチューニングが施されているとのことです。デスクトップサイドに置くのにちょうど良さそうなサイズの筐体からは想像できないスケールの音です。このスピーカーはMicro Monitorが示す通り原音再生を目指していると思われますが、小口径フルレンジでシンプルが良いと思っていた私の方向性とはアプローチが全く異なります。 2ウェイバスレフを4つのアンプでバイワイヤリング駆動、スピーカー間の時間補正を制御する56ビットDSP処理など、すべてがエンクロージャーの中に入ったアクティブスピーカーです。シンプルとはかけ離れている感じですが、素晴らしい音だと感じました。
中華製デジタルアンプにも詳しくて、SMSL、ELEGIANTなどの音も聴かせてもらいました。中華製デジタルアンプについては噂は知っていましたが、小さな筐体でONKYO A-5VLと遜色なさそうな感じでした。こちらもアールズチューニングされているので、そちらも影響が大きいのか、元々すごいのかは想像になりますが可能性はすごいと思います。
音楽ソースはCDプレーヤーですがTOSHIBA製の安価なものをチューニングして使われていたり、Bluetoothから入力できるミキサーとか面白いものがたくさんあるリスニングルームでした。
それから、わずか3日後、今度はアールズ大傍様が私のリスニングルームに来ていただく機会に恵まれました。ONKYO A-5VLの音を聞いてもらった後、中華製デジタルアンプ、SMSL SA-36AとFX-AUDIO FX202A/FX-36APROの比較になります。スピーカーは自作D-10バッキー、プレーヤーはパイオニアDV-610AVをつなぎます。ACアダプタや謎のチップなど使ってチューニングしていく様子を体験できたのは貴重でした。DV-610AVのDAコンバーターであの音ならA-5VL残念ですが負けてる感じですね。
IK MULTIMEDIA iLoud Micro Monitor 製品ページ
https://www.ikmultimedia.com/products/iloudmm/
アールズ 大傍様のホームページ
https://soundist-rs.rdy.jp/